Topics2.守れない10の理由
Topics2.教育入院する際の錯覚(1)
患者さんが食事療法をできないのは何故でしょう?
皆さんは患者さんの意思が弱いからと片付けてませんか?
でも、皆さんの中にもダイエットしようとしても失敗した人が少なくないでしょう?
患者さんがいう言葉ももっともだと思います。
この患者さんのいうことの一つ一つにちゃんと応対しなきゃなりません。
アメリカのジョスリンクリニックの臨床心理学者であるポロンスキー博士はDiabetes BURNOUTにこの患者さんの言い訳を「守れない10の理由」として集めてくれてます。
そして最近天理の石井先生が医歯薬出版から「糖尿病バーンアウト」という邦題でこのポロンスキー博士の名著を訳して下さってます。
どれももっともな理由なので皆さんも耳を傾けてください。そして答を見つけてあげてください。
一応私の感覚で解説をつけていますが、詳しくはご本をお買いください。(私は出版社の差し金ではありませんよ。(笑)いい本なので買って損はないと思います。)
Topics2.患者さんのいうことに耳を傾けよう(2)
食事療法が続けられない10のもっともな理由
- 食事療法のやり方が本当のところ良くわからない
医療スタッフがしてくれる提案がかなり漠然としていて具体的に何をしてよいかわからない。
提案が多すぎて気持ちがくじけてしまう。これよくありますよね~。特に栄養士さんが1回の栄養指導で全てを言い尽くそうする場合。
患者さんは部屋を出た直後は「いいお話だったわねー」で終わります。
でも家に帰って良く考えると、「ところで私は何をすればいいんだっけ?」となります。
1回の栄養指導で全部を言い尽くせるわけがないですよね?
私は自分の病院の栄養士には、「1回の栄養指導で1-2項目しか指導してはいけない」といっています。
そしていい指導とは指導した後、「先生、次のお話はいつ伺えばいいのですか?」と患者さんに言わせる指導が最高の指導だと話しています。
Topics2.守れない10の理由(3)
食事療法が続けられない10のもっともな理由
- 食事療法についての見通しが非現実的である
患者さんは「今の普通の食べ方」と「正しく道徳的な食べ方」のたった2つの食べ方しかないと思い込んでいる場合です。
この考えは「鳥の餌の様な食事をしなければならないのですね」のような言葉に表れます。私にも全く同じ発言をした患者さんが二人もいました。(笑)
鳥の餌の様な食事が続けらない怠け者は諦めて後者の食べ方に戻ってしまうしかないと思っています。
これは非常に高すぎる目標の設定よって起こります。
食事療法は「今の普通の食べ方」と「正しく道徳的な食べ方」の二つしかないのではなく、その間に無数の「患者さんと栄養士の妥協し合った」目標レベルが存在するはずです。
高すぎる目標はSelf Efficacyの観点からもやる気を削ぎ、動機が失せていきます。
目標を下げましょう。
Topics2.守れない10の理由(4)
食事療法が続けられない10のもっともな理由
- 至る所に誘惑が多すぎて抵抗するのが困難であるテレビの宣伝、新聞のチラシ、街の看板はおいしそうで、不健康な、糖分や脂肪に富む食品で溢れている。
- 生活はストレスで溢れているストレスで溢れた仕事が終わると、ごく自然に「安らぎを与えてくれるごほうびが欲しくなる」自分を慰めてくれたり落ち着かせてくれたりするためには大好きな食べ物が欲しくなるしかしこの食べ物は一時的な効果しかない
- レストランや付き合いの場での食事は大変難しいどのレストランにいってもおいしいものは高脂肪の料理ばかり
- とても時間がかかるし、努力も必要忙しい人にとって食事選択の基準は 「手軽さ」であるもっと健康的なレシピを考えたり、スナックの代わりに低カロリーのモノを作ったりする時間は捻出することが果たして可能か?
- 正しい食事プランに従う度にその結果に失望させられる正しい食事プランにしばらく従ったからといって必ずしも体重が減ったりHbA1cが改善するわけではない
- 家族からの協力配偶者が「思い通りに食べたりするのは構わないけど、そのことで私たちの楽しみが奪われるのはいや!」といったらあなたは色んな努力をするのが嫌になりませんか?
- 正しく食べることにはうんざりしてしまう患者さんが「正しく食べる=楽しみのない苦痛な生活」はというのもある面では本当では? 私たちは脂肪分たっぷりの食事が大好きそれを制限されると楽しみを奪われてしまう気になる
- 「ノー」というのは難しい近所の方が「あなたのために作ったこのアップルパイ一切れ食べて」といわれたら、、 糖尿病であることを知られたくないだからただ静かに食べるのが一番簡単