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実践的糖尿病教育

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Empowerment

最近Empowermentって言葉を良く耳にするけど、別にEmpowermentって固有の方法がある訳じゃない。

Empowermentは読んで字のごとく「力を与える」つまり患者さんを勇気づけること。

あなたが一言云うたびに患者さん黙ったり、暗~い気持にさせてない?

反対に患者さんが「じゃ今度はこうすればいいんですね」って元気で帰っていったら、それはもう大成功!

上手にEmpowermentできたってことだよ。

元々、今の医療は急性期医療を中心にそのモデルができあがっている。
例えば腹痛でやってきた患者さんは医者がつけた診断や、治療に対する方針についてあまりとやかく論じたり、異を唱えたりする時間はない。またその治療に対しての主権も責任も医者が持つ(持たない医者もいるけど(笑))。手術がうまく行かなかったら訴訟問題なんかになるけどそれは責任が医者にあるから問えるんだ。
ところが例えば糖尿病のように慢性疾患の場合、医者が患者さんにカロリーや運動の指示をしたりしても、詰まるところ、指示に従うか従わないかは患者さんの自由だ。それに患者さんの血糖が良くならなくても、訴訟になったりしないよね。それは血糖が良くならなくてもその責任が医者だけではなくて、かなりの部分が患者さんにあることをみんなが暗黙の上に認めているからだよね。つまり慢性疾患の急性疾患と大きく異なるところは「治療に対する主権も責任も患者さんが持っている」ということだよ。そうすると、我々糖尿病を診る医療者は何をすればいいんだろう?それは実は患者さんに選択の自由を与えるところにあるのだ、という考えがある。英語で言うとInformed choiceができるようにする、ってこと。
糖尿病のように治らない病気では、急性疾患のように「治す」ことが目標ではなくなる。治らないならどうするのか。その病気を抱えて生きていくことが苦痛でないようにすることが目標になると思う。でもどういう時に苦しいと感じるのかは本当に人それぞれ。だから患者さんが自分の選びたい人生を送れることが目標になるのだと考えている。結局医療者は患者さんが本当に望むもの、歩みたい人生の軌跡なんてわからない。だからその分岐点、分岐点で患者さんが選びたいものを選べるように情報を与えていく、こういうことをするとこっちへいく可能性が高いですよ、こっちを選べば反対の方へいきますよと教える。 そんなガイドのようなことが仕事だと思う。
医療者が自分勝手に科学的Evidenceで判断して「こちらの方が幸せです」なんて押しつけない。Informed choiceが出来るようにして、患者さんの視点から「こちらの方が幸せです」って言ってもらえるような医療を提供する。
この考え方をEmpowermentというのだと私なりに思って居る。

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