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実践的糖尿病教育

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自己効力

自己効力(Self-Efficacy;Bandura A)(1)

皆さんは何回も教育入院を繰り返し、知識は医者並みにあるのに、退院するや否やほとんどセルフケア行動をとれない患者さんを見たことがあるでしょう?

あれ、どうしてかなと考えたことがありますか?
実際今までにも糖尿病患者さんのセルフケア行動と知識が比例しないという報告はあるわけで、それじゃ知識以外の何が鍵を握っているかを知りたくはありませんか?

自己効力(Self-Efficacy;Bandura A)(2)

この知識以外に行動を起こすかどうかのきっかけに成り得るものをBanduraは自己効力(Self-Efficacy)ではないか?と考えました。

自己効力とは聞きなれない言葉でしょうが、内容としてはこれを自信(Self Confidence)と書いても大差ありません。
最近は専門用語をもっと日常用語に変えよう、という動きがあります。「自信」ならわかりやすいですね。

Banduraがいったのことを簡単にいえば、人はある行動を開始しようとする時に、知識以外にもそれを成し遂げる自信がないと行動を開始しようとしないよ、ということです。

自己効力(Self-Efficacy;Bandura A)(3)

今度は難しくいいますよ(笑)

まずBanduraはある人が行動の変容を成し遂げるには、その学習対象となっている行動が

  • その人の望む成果をもたらすだろうという期待、
    (outcome expectancy belief; 結果期待感)を持つこと
  • その人自身がその行動を成し遂げる自信 (self-efficacy belief; 自己効力感)を持つこと

が大事であるという説を唱えました。

例えば禁煙行動に関して言えば、前者は禁煙すれば癌の発生率や心筋梗塞が減るという期待、または知識ですね、それと後者は禁煙する自信をさします。
ある人が禁煙行動をとるためには、この両者が必要であり、この両者が整っている状況が「動機づけられている状態」といえます。

どうです?
そこの患者さん?
「自信」ありますか?

自己効力(Self-Efficacy;Bandura A)(4)

で、我々は糖尿病のセルフケア行動においてこの動機づけられた状態にもって行きたいのです。

しかし、結果期待感は知識により生じるので、知識の授受は通常の学習にて得られますが、自信(自己効力)は一体どのように得られ、強化されるのでるのでしょうか?

Banduraはこの自信(自己効力)を高めるには4つの情報(経験)が役立つとしています。それは、

  • 行動の達成(enactive attainment)
  • 代理経験(vicarious experience)
  • 言語的説得(verbal persuation)
  • 生理的・情動的アローザル(physiological states or emotional arousal)

であり、この順に自信を高める効果が強いとしています。

自己効力(Self-Efficacy;Bandura A)(5)

その各々に解説をつけると以下のようになります。

  • 行動の達成

    ある行動を実際に行ってみて、できたという成功経験。

  • 代理経験

    自分と似たような境遇の人が行って成功したのをみて、自分にもできそうだと感じる経験で、モデル学習ともいわれます。

  • 言語的説得

    行動の結果でた成功に対して賞賛された経験。とくに医療従事者のように専門性の高い人に誉められると効果が大きいです。

  • 生理的・情動的アローザル

    行動の結果出現した体調の変化から、よい徴候として感じる経験です。

自己効力(Self-Efficacy;Bandura A)(6)

この中で一番自信がつくのは、実行してみて成功する経験です。
「これだったら次ぎも出来そうかな?」という感覚が芽生えるのが大事なのです。

話は少しそれますが、自己効力を上げるという点に照らし合わせると「目標」をたてる場合、「目標」を成功しそうなレベルに置くことが大事であるということがわかってきます。

最初から体重の目標を理想体重に合わせたり、指示カロリーを5kcal/kg Identical BWにしたりして、失敗する経験をさせると、普通は行動をするのが嫌になります。

一度やって失敗したダイエットの方法の載った本が押し入れの中で、、、。

そうじゃないですか?

自己効力(Self-Efficacy;Bandura A)(7)

2の「代理経験」、または「モデル学習」は集団指導で各個人の成功例を発表させると効果があります。

○○さんの成功した実例は他のひとに
「そっか、あの○○さんも出来たんだ。じゃ、私も!」
という気をおこさせます。

2「言語的説得」に関しては特にお医者さんや看護婦、栄養士などの専門家が「出来たの?すごいじゃない!誉めあうと家族が誉めるより効きます。

2「生理的・情動的アローザル」は糖尿病で症状がでている人の場合は役に立ちます。
血糖が下がったら脚の痺れが減ったという場合は好ましい促進因子です。

このような患者教育理論を応用し、患者さんにやる気を出させるようにする教育方法に、後述するEmpowermentがあります。

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